人材開発と技術士資格(会長挨拶、23年8月)

  技術士稲門会会員の皆様、残暑お見舞い申し上げます。
  最近の話題と技術士資格について書きます。
  先日都内某区の総務部長が私の事務所に挨拶に見えました。ご縁で、たまたまその区の技術系幹部職員人事等についてボランティアでご助言をさせていただいております。
  総務部長は早稲田大学政治経済学部出身即ち稲門の方です。総務部長曰く「公務員は就職する時は優秀ですけど、10年くらいすると能力が疑わしい職員になってしまうんですよ」
  「いや、そんなことないでしょう」と返事をしたものの、率直な所、私も同感です。
  40年ほど前、私は公務員試験を受験しました。(建設省に内定しました。)大変な競争率でした。私が受験した時、国家公務員上級職の建築職は20倍位いと記憶しております。私事で恐縮ですが、長女が警視庁女性警察官試験を受験した時、採用50名で応募者が1000人位いたと聞いております。23区の試験も東京都庁の試験も競争率10倍以上と思います。レベル的には国家公務員I種とほぼ同レベルの難しさと思います。
某区総務部長の話ではありませんが、私が区長を務めた港区でも同じ状況ではないかと感じました。港区には技術士はいません。東京都庁には50人位いると聞きました。自ら資質向上に努めようと港区長時代、技術系職員に論文研究の私塾を開くから参加をと声かけしたら、ほとんど参加者ゼロでがっかりしました。勉強しようという風土が無いと感じました。
  資格取得のためには、組織の幹部や同僚たちが、職員に能力開発のために資格を取らせようという強い動機が必要です。残念ながら、勉強に不熱心、無関心な幹部を見ました。
  組織の職員は、技術士資格を取得しても出世するわけでないし、昇給するわけでないし、下手すれば、周囲のヤッカミの対象となったり、はたまた、あいつは独立するつもりか?など疑いの目(?)を向けられます。
  先日、某県某町役場の技術系職員と会いました。技術士を所持しています。「失礼ながら、公共事業もそれほど多くない小さな町で、技術士を取得するのは大変でなかったですか?技術士の仲間が少ない中での受験は大変だったのではないですか?周囲から期待されているのではないですか?」と語りかけました。頑張る人はどこでも頑張っているのだと感銘を受けました。
  小さな町役場でも頑張る人がいる。都内某区の施設課長、某県の都市計画部長、地方の小都市某市の建築職員が工学博士を所持している、などお話をしました。
  職員が資格取得のために勉強を継続すれば、組織としての力量が高まります。技術系職員が技術士などの資格に挑戦するような環境づくりをするべきと総務部長に助言しました。
  民間であれ、官庁であれ、技術士資格取得の動機づけの1つになると思います。
  後輩達に、組織人であれ個人業であれ、自己啓発、資質向上のため技術士資格を取得するよう激励しましょう。応援しましょう。仲間を増やしましょう。
  暑い日が続きます。お体にお気を付けになりご活躍ください。
  私事ですが、私は一日おきに剣道稽古、また、毎週末10キロ走っております。

原田敬美 技術士稲門会会長
72年建築学科卒、74年修士卒、技術士(建設)、博士(工学)、一級建築

管理者 について

当会会員/幹事 技術士(情報工学)
カテゴリー: 会長から パーマリンク